福岡県内JR全線&小野田線制覇完了旅行C

管理人が、夏休み最初の長距離旅行として香椎線、筑豊本線、小野田線の完全制覇と西鉄宮地岳線乗車に乗車した時の旅行記です。  13:02、門司港行きの各駅停車が入線した。

   先頭車両は混んでいたが、他の車両はぽつぽつと空席があったので、私は中間車の車端部ボックスに座った。その座席には、スポーツ新聞数部が捨てられていたので、誰も座らなかったのだろう。車内に捨てるくらいなら、駅のくず箱まで持っていけば良いのに、と思う。公共の場にゴミを捨てることは、断じて許されない行為だ。新聞が邪魔だったので、後で捨てようと端によせ、さっそく先ほど折尾駅で買った駅弁「かしわめしおりお」を開いた。

 折尾駅の「かしわめし」は、地元の佐賀玉屋デパートで開かれた駅弁フェアで買ったことがあるような気がするものの、味は忘れてしまった。さっそく食べてみる。駅弁フェアに出品されるだけあって、確かに美味しい。特に名前に「かしわ(鶏肉)」があるだけに、「かしわ」の味は特に美味しかった。とはいえ、鹿児島本線の駅はたいてい「かしわめし」を売っているので、食べ比べてみないと何とも言えないのだが。

 赤い若戸大橋が車窓に見えた。先ほど訪れた若松駅は、写真の若戸大橋の左側に見える橋脚のすぐ近くにあった。つまり、洞海湾をぐるりと回りこんで来たことになる

 西小倉に到着する頃には、駅弁をほとんどたいらげ、駅弁のカバーシートだけ記念に、とカバンの中に入れ、座席に捨てられていたスポーツ新聞とともに門司駅のくず箱に入れた。

 門司駅では、山陽本線の電車に乗り換える。13:40頃、415系1500番台4連の下関行きが入線した。

 車内は混んでいたので立ち席となった。間もなく、交直転換を行うために「バシッ」という凄い音がして車内の電灯や冷房が消え、5秒ほどして再び稼動を始めた。だが、乗っている人のほとんどは何食わぬ顔をしておしゃべりしたり、雑誌を読んだりしていた。北九州や下関の人々は、もはや関門トンネルを通って県境を越えることに抵抗を持っていないのだろう。そう思っていると、

「この列車、発車時間を過ぎておりますが、信号停止をしております。お急ぎのところ、大変申し訳ございません。」

 そのような放送が2、3回繰り返された後、ようやく信号が青に変わり、ドアが閉まった。門司駅を約4分遅れて発車した。

 関門トンネルを抜け、下関の車両基地のそばを通った。以前、ここを通った時には見られなかった117系が停まっていた。ジョイフルトレインの「TABIJI」もいた。下関には定刻より4分遅れて13:53頃到着。時間は少なかったが、途中下車した。

 2006年(平成18年)1月7日の真夜中。高校入試の受験勉強をしながら、NHKラジオの「ラジオ深夜便」という番組を聴いていた。午前4時のNHKニュースだったと思う。

「今日未明、山口県のJR山陽本線下関駅で火災が発生し、現在も燃えている模様です。消防車が消火活動にあたっていますが―――。」

 一瞬、耳を疑った。下関駅は、何度も利用したことがある駅だ。それが炎上・・・。下関駅のホームが、改札口が、商店街が火に包まれているのが目に浮かんだ。実際にはホームや改札口に大きな被害は無かったものの、お土産店やギャラリーがあった駅舎が焼け落ちてしまっていた。

 あれから半年以上が経過したが、旧駅舎があった場所は整地が行われていたり、仮のものと思われる建物が建設されていた。

 駅舎に放火したのは70代の男で、事件の数日前に刑務所を出所したばかりだったという。なぜ他人のものを燃やそうと考えるのか。その心が全く理解できない。旧駅舎は、建て替えられる予定だったそうだが、それが犯行の動機だったとしても、許すことはできない。

 時間が無いので、急いでホームに戻る。次の新山口行きは105系だった。ということはロングシート・・・。

 しかし、そのロングシートでさえ全て満席。仕方ないので、立つことになった。電車は14:01に下関を発車。多くの乗客は幡生や新下関といった短距離乗車で、新下関駅で座ることができた。朝が早かったのでうとうとしてきて、その後は厚狭のあたりまで記憶が無い。

 宇部には定刻の14:45に到着。

 宇部駅で途中下車し、駅舎を撮影した。

 時間があるので駅前を散策。駅近くの商店の前に、こんな自動販売機があった。

 何と、通常130円や150円もする飲料が、ワンコイン(100円)、安いもので90円で買えるのだ。これは初めて見た。周囲の自動販売機は、普通の値段の自動販売機ばかりである。この近辺だけではこれだけのようだ。それにしても、一体どのような流通ルートで品物を仕入れているのだろうか。ちなみに、私はこの自動販売機で2本購入したが、味が薄いとか、中身が見た目より少ないということはなく、ごくごく普通の飲料だった。う〜む、謎だ。

 続いて宇部線の105系新山口行きに乗車。

 電車は15:03に宇部駅を発車。10分ほどで宇部新川に到着。

 先ほどの宇部駅と同じく、駅舎を撮影。

 駅前からは、もうもうと煙を吐き出している工場の煙突が見えた。

 一方、駅のホームには、アヒルの置物が置いてある噴水(?)と池があり、十匹程の金魚が泳いでいた。

 次の小野田線電車は4番乗り場から発車するそうなので、早速移動した。程なくして123系単行が入線。

 入線前から並んでいたので、席の確保には苦労しなかったが、発車時刻が近づくと次から次へとお客さんが乗ってきて、最終的には立ち席が出るほどに。15:37、電車は宇部新川駅を発車した。乗客は次第に降りて行き、雀田駅に着く頃には空席も発生していた。私は、他の乗客と共にこの駅で下車した。

 雀田駅は、小野田線とその本山支線の分岐駅で、上から見るとホームがYの字をしているという面白い構造を持つ駅だ。この駅で降りたのは、本山支線に乗るためである。本山支線といえば、2003年(平成15年)まで旧型国電の「クモハ42形電車」で運行されていたことで有名である。駅舎は簡易委託駅となっていて、途中下車印は置いていないということだった。駅舎は、外観が改修されていたものの、駅舎内は古そうな感じの木造だった。

 駅の近くに踏切があった。

 一日わずか5往復の本山支線。かつては「本山炭鉱」という海底炭鉱で産出された石炭輸送で賑わったそうだが、その炭鉱は40年以上前に閉山されており、現在は上記の運転本数となってしまった。

 雀田駅に戻り、長門本山行きの電車を待った。やがて、宇部新川方面から123系の回送電車がやって来た。この電車が次の長門本山行きのようである。 

 方向幕は「雀田⇔長門本山」となっていた。

 しばらくすると、大阪あたりから来たと思われる大学生グループが電車に乗ってきた。どうやら目的は私と同じらしい。運転席の方では、運転士と雀田駅の駅員が何やら笑い話をしていた。一日5往復の、もちろんこのようなことは不可能だが、いつ発車しても良いような路線だからこその光景だった。

 16:28、電車はわずか数人の乗客を乗せて雀田駅を発車した。民家や畑のすぐ目の前を通っており、畑仕事をしているおばあちゃんに声を掛けようか、と思わせるくらいの近さだった。途中駅は浜河内だけで、16:33、電車は終点の長門本山駅に到着した。

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