青春18きっぷで行く、九州北部三県一周旅行B

1日分が残った「青春18きっぷ」を使って、JR九州20周年スタンプラリーに挑戦した旅です。

 福岡市地下鉄と西鉄宮地岳線の改札口は向かい合っていて、乗り換えには便利だった。私は、ここで貝塚⇒和白間のきっぷを券売機で買った。券売機には、「センター入試が九州大学で行われる関係で、混雑が予想されます。行く前に、帰りのきっぷを購入されることをおすすめします」という紙が貼られていた。そうか、今日はセンター入試の日だった。私も2年後の今頃は・・・と思うと、今、こんなことしてて良いのか?とも思ってしまった。だが、今しか楽しめないし・・・と、考えると、今ここにいるのは、ある意味で貴重な時間を過ごしていることでもある。そう自分で納得し、改札口に入った。

 ホームに停まっていたのは、二枚窓で有名な313系だった。

 車内にはちらほら立ち席があるくらいだった。私は、運転席後ろで、前方風景を眺めることにした。まもなく、発車ベルが鳴ってドアが閉まり、電車はキュウィーンという独特のモータ音を唸らせながら、貝塚駅を発車した。運転席と客室は、当然ながら壁があるものの、半分程度はガラス窓で占められており、前方風景はかなり眺めやすかった。

 夕方に差し掛かっていたので、通勤通学客の利用も目立った。近くでつり革を持って遊んでいた女子中学生(高校生?)たちは、電車の前方風景を見て、「電車でGO!みたいだね」と話し合っていた。確かにその通りであるのだが、彼女らは電車でGO!をしたことがあるのか?という疑問も同時に浮かんだ。

 香椎花園(かしいかえん)前駅到着時には、「心の旅」のメロディが流れた。これは、終点到着時にも流されている。しかし、乗客減で、末端区間である西鉄新宮―津屋崎間は今年(2007年)4月1日をもって廃止されることが決定している。そういえば、「心の旅」を歌っていたチューリップも年齢などを理由に解散(過去に一旦解散して、再結成している)するという。キリンビールのCMでは、「時代は変わっても、ラガーは変わるな」というフレーズとともに登場していたが、赤字路線の廃止も時代が変わる節目なのだろうか。結局は、効率化や便利な自動車利用に人々が流されていった結果がこれなのだと思う。起伏の激しい場所は仕方ないだろうが、福岡市のような平坦地なら、自動車を使わずとも数キロ程度ならば、自転車で十分だろうし、それより遠ければ電車やバスがある。少なくとも、市内だけに限ると、自動車に乗ってまで行く必要があるのか・・・と思う。一人しか乗らないのに、自動車を動かすのは、エネルギー効率が悪い。

 環境問題が叫ばれる中、国は「二酸化炭素排出量削減」を掲げて「チームマイナス6%」などというキャンペーンを行っているが、現に全国各地で新たな道路を整備して、自動車利用者にとって便利な国づくりを進めているではないか。これで「二酸化炭素排出量削減」などと主張するのは、大きく矛盾している。むしろ、特に慢性渋滞の大都市においては既存の公共交通機関の充実を図ったほうが良いのではないだろうか、と思う。

 和白駅には、遅れることなく到着したのであるが・・・、西鉄の和白駅到着と同時にお隣のJR香椎線和白駅から西戸崎行きの列車が発車してしまった。しかし、香椎線は本数が多いので、15〜20分も待てば、次の列車が来る。通勤通学路線という性格が強いため、今後も沿線人口の増加が予想される。近い将来、香椎線の中でも比較的利用客数の多い区間が電化されるかもしれない。

 西鉄駅からJR駅への乗り換えは、細長い歩道を歩き、香椎線の線路を渡ってから行くようになっていて、少し時間がかかった。香椎線ホームで次の列車を待った。次の西戸崎行きは、キハ47形2連で、和白駅で対向列車との離合を行った。

 対向列車が到着すると、列車は和白駅を発車した。しばらく行くと、右手に砂の山が続くようになった。実は、この砂は香椎線最大の敵でもあり、風で飛ばされた砂が線路内に入ってくるため、保守が大変なのだという。

 16:42、列車は西戸崎駅に到着した。駅のホームからは、博多湾を挟んで福岡市街地が見えた。しかし、西戸崎駅横で高層マンションの建設が予定されているらしく、いずれはホームから海を見ることができなくなるだろう。

 早速下車して、窓口横に設置してあった20周年スタンプラリーのスタンプを押した。絵柄は、この近くにある志賀島で発見された金印やマリンワールド水族館のイルカだった。スタンプの隣には、去年(2006年)の夏にこの駅を訪れた際にもあった、ピンク色で10円玉専用の公衆電話が残っていた。

 先ほどの列車の折り返しに乗るので、私はすぐにホームに戻った。太陽は西に沈みかけ、だんだんと暗くなってきた。しかし、これから都心部に向かう人は少なく、車内は閑散としていた。

 20分ほどの乗車で香椎駅に到着し、1分の接続で大牟田行きの快速に乗り換えた。こちらも混雑はしておらず、車端部のボックスを占有できた。

 博多駅で途中下車し、軽食を調達した。もっとも、博多駅で降りた最大の理由は、途中下車印を集めることにあり、この時点で既に30駅を超えていた。ホームに戻ろうと改札口に入ったとき、頭上をドドドンと鈍い音を立てながら、何かの列車が停まった。ホームに出てみると、線路を挟んだ隣のホームに、寝台特急「はやぶさ」が停まっていた。今さっき停まったのは、「はやぶさ」だったようだ。博多駅には4分停車するため、「はやぶさ」の周りでは、乗客や地元の鉄道ファンが写真を撮っていた。もちろん、私も何枚か撮影し、下の写真の左に停まっている各駅停車羽犬塚行きに乗り込んだ。

 こちらの車内は混雑していて、春日駅までは立ち席となった。17:58に二日市駅に到着。この駅もスタンプ設置駅なので、途中下車して「みどりの窓口」内に設置してあったスタンプを押した。絵柄は、九州国立博物館と菅原道真公ゆかりの飛梅だった。

 すぐにホームに戻り、18:05発の快速大牟田行きに乗った。すでに外は真っ暗になっていた。鳥栖駅からは、長崎行きの817系に乗車した。幸い、車内が空いていたので、座席に座ることができた。

 

 青春18きっぷ最終日に残り1日分を使用して実行した今回の旅行。JR九州20周年スタンプラリー設置20箇所のうち、今日だけで4箇所分を集めた。既に門司港駅は制覇しているので、5箇所分となった。3箇所以上でオリジナルシール、10箇所以上でミニチュアトレインがもれなく当たる。期限の7月までには、少なくともあと5箇所分は集まるだろう。しかし、近距離は大半を制覇してしまったので、それ以上を集めようとするのならば、今後はより遠くに行かなければならない。ここのところは、まず10箇所達成を目標にしよう。

 電車は、18:54、定刻に佐賀駅に到着した。もちろん、改札を出る時は、「降りる」のではなく、「途中下車印」を押してもらった。

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