小倉工場まつり2006往復旅行A

朝からいろいろと大変だった「小倉工場まつり往復旅行」の旅行記です。

「危ないなぁ。何でこんな方法で販売するんやろ。」

 近くにいた初老の男性がそうつぶやいた。先ほどの男性も言っていたが、どう考えてもやはりこの販売方法は危険である。2年前は、5人ずつぐらいで区切って販売していたが、今回は人数無制限。なので後ろから後ろからどんどん押される。しかし、押す先には建物の壁があり、ガラスの窓もある。もし勢いあまってガラスに突っ込んだら、もうお祭りどころではない。主催者は、この販売方法を改善すべきでは無いだろうか。ガラスに突っ込んで死者やけが人が出てからでは遅いのだから。

 問題にすべきは主催者だけではない。他人のことを何も考えない一部の来場者は、10枚も20枚ものサボを手に取れるだけ取って、気に入らなかったら返品という信じられないことをしていた。それも一人ではなく、小学生からいい年した大人まで。小さな小学生を利用してゲットさせ、良いものは自分で選ぶ、という大人もいた。そして、彼らは「おっ、めずらしー!」「ちぇ、全部『下関』じゃん。」「もっとないのかよ!」などという自分本位の発言を繰り返していた。これが、サボ販売における憂慮すべき現状なのである。私の主張を「敗者の負け惜しみ」と思う人と「その通りだ。」と同感する人の両方いると思うが、書くまでもなく常識的に考えれば、これらの行為は問題である。来年も「小倉工場まつり」は開かれると思うが、来年は少しでも良いので、サボ販売時の問題改善に期待したい。自分もまた、このような恥ずかしい行為はこれから先も絶対しないように心がけようと思う。

 結局のところ、私が手に入れたのは「別府⇔南延岡」と「下関(裏:博多)」の2枚。今年は1枚 500円なので、近くにいた係員のおじさんに1000円を払った。運転士用時刻表1枚(200円)も購入した。販売品を見回してみると、マスコンやブルトレ客車の通路鏡や電灯、ロビーカーの電灯やカーテン留め、特急列車のテーブル、手すり、灰皿、読書灯、そしてブルトレ客車車掌室の配電盤など、最低価格50円から最高70000円(確認分)までの各種部品が売られていた。配電盤に至っては、売り物と言うよりは「見せ物」に近く、何人かの人が写真に収めていた。

 私は寝台特急の部品が欲しかったので、寝台特急関連の製品を探した。寝台特急客車の通路鏡が1000円で売られていて、実用できそうだったので、それを買うことにした。せっかくなので、値段交渉をしてみることにした。

私:「これ(通路鏡)、何円まで値下げできますか?」

係員さん:「私らは工場から雇われてるから、勝手に値下げしたらいかんのよ。何円だったら買うの?」

私:「800円・・・ですね。」

係員さん:「終わりごろになったら(値下げ)できるけど・・・。今はできないね。」

 “交渉失敗”。地下鉄テロを未遂に終わらせた真下正義にはまだ遠い・・・。少し迷ったが、品が売り切れになってからでは遅いので、通路鏡を定価通りに1000円で購入した。その後、近くに展示してあった「あそBOY」こと8620形58654号機の撮影に行った。今日は機関室が開放されていて、そこに行こうと機関室からは大蛇の列が。私はその列の間をすり抜けて先頭部へ。先頭部でも多くの人が撮影を行っていた。久々に見た「あそBOY」。「あそ1962旅行」の時にちらっと聞いた「九州新幹線全線開業時には、何か考えているみたいですけどね。」という車掌さんの発言は、この機関車の復活を意味しているのだろうか。

 撮影後、近辺をうろうろしていると、つり革や小型銘板をキーホルダーにしたものを売る店を見つけた。つり革や小物は全部100円ということなので、一応つり革を1つ購入した。再び車両部品販売所に移動し、最後の品定めをした。2時間以上遅れた上にテスト勉強をしなければならないので、あと30分で工場を出発しなければならない。今使用できるのは約1000円。50円のカーテン留めを買って、散々迷った後、座席に取り付けられている金網のコップ置き(2個セットで500円)を購入。残ったお金で、先ほどのつり革売り場でつり革をもう一つ買い、「始電1」と書かれたキーホルダー(元は本物)を1つ買って、小倉工場での買い物を終了した。

 時刻は12:15になった。時間なので、出口へ向かう。

   工場の敷地を出ると、工場内部の喧騒とは打って変わって静かなものだった。工場近くの交差点には、路面電車の軌道跡がまだ残っていた。写真の通り、レールをはがした上でそこだけ再舗装しているので、4本のレール跡が確認できる。

 近くにある地図にも、路面電車線路を表す記号がそのまま残されていた。

 西小倉駅に戻る途中、おおっと思わせるような朝日新聞の販売店があった。威厳のある看板、昔ながらの建物。なかなかの風格である。この建物の前の道路にも、かつては路面電車が走っていた。

 西小倉駅舎を撮影して、

駅に入場。ちょうど817系直方経由博多行きがやって来た。間違って日豊本線ホームに行ってしまったので、あわてて鹿児島本線ホームに戻り、何とか乗れた。次の九州工大前駅からは座ることもできた。

 戸畑駅で乗り換え時間を利用して途中下車した。戸畑駅で途中下車するのは初めてだ。改札口を出て、早速駅舎を撮影した。

 売店で飲み物を調達し、再びホームへ。次に乗る列車は、特急「有明9号」光の森行きである。こちらは戸畑―鳥栖間直通なので、往路のようなことはない。

 12:58、4両編成の787系BM105編成「有明9号」が入線した。

 普通車禁煙自由席車内は空いていて、好きなところを選ぶことができた。

 「有明」は、特急「リレーつばめ」や特急「ソニック」などの看板特急の陰に隠れたような存在だが、目立たずとも地域輸送用としてがんばっている姿を見ると応援しないわけにはいかない。きっぷの都合もあるが、帰りの時間を「有明」に合わせたのは、このような理由もあるのだ。

 折尾発車後、私はバッグから現代社会の教材を取り出して勉強を開始。内容は、日本国憲法前文と安倍内閣閣僚の役職名と名前を全て暗記すること。日本国憲法前文は、中学生のときに丸暗記したので、問題は安倍内閣閣僚の役職名と名前である。安倍晋三総理大臣や麻生太郎外務大臣、「鉄道」の「鉄」が名前に入る冬柴鉄三国土交通大臣などは覚えやすいのだが、菅義偉(すがよしひで)総務大臣は名前の読みが非常に難しいし、経済産業大臣や経済財政政策担当大臣、金融担当大臣、財務大臣など、似たような役職はもう顔写真と照合して覚えるしかない。しかしながら、写真つきの名簿表を見る限りでは、今回の内閣はあまりパッとしていないように感じる。「塩じい」のように親しみのある呼び名の人や何かで知っている人が少ないのである。一般に反政府的だと言われている朝日新聞の投稿欄には、「人材に欠き」とも書かれたほどだ。

 私が最近当選している新国会議員で一番心配なのは、国会議員らしからぬ服装・髪型をする人が出てきていることだ。例えば、竹中平蔵前金融相の参議院議員辞任に伴って繰り上げ当選したあの金髪議員。一般の会社ならば金髪で許されるかもしれないが、日本の将来を左右する国会議員にそのような人物が相応しいのだろうか。無論、有名人や芸能人は立候補してはいけないと言うのではないが、有権者は、有名人だから、芸能人だからと、ろくに立候補者の政策や方針、国会議員としてのあるべき姿を考えずに「人気投票」をしてはいないだろうか。いや、人気投票をしたからこそ、そのような国会議員が当選するのだ。結局はそのような人物を当選させた有権者に責任がある。

 と、頭のわきでいろいろ考えながらひたすら暗記した。博多を発車してすぐの竹下の車両基地には、大村線の快速「シーサイドライナー」で活躍しているキハ66系が留置されていた。

 二日市発車後に下車の準備に取り掛かった。列車は14:11に鳥栖駅に到着した。時間があるので一旦途中下車し、駅舎を撮影した。

 その後再びホームへ。既に肥前山口行きの817系各駅停車が入線していた。そう混雑する時間でもなく、案の定車内は空いていた。

 列車は14:36に鳥栖駅を発車した。吉野ヶ里公園付近ではコスモスが咲き乱れていて、家族連れが散歩を楽しんでいた。

 15:01、列車は佐賀駅に到着した。

 朝からバタバタしたものの、一応目的は達成できた。財布の中はすっからかんなのに、またどこかへ行きたくなった。そういえば、11月には長崎で路面電車まつりがあるらしい。そのときまでに旅費がたまれば、またナイスゴーイングカードのお世話になろうと思う。

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