有田陶器市&佐世保撮影旅行

有田陶器市&佐世保旅行@

2006年のゴールデンウィークに実行した撮影旅行です。

 今年のゴールデンウィークは、祝日と土日が連続するという嬉しい配列のおかげで5連休だった。ゴールデンウィークといえば、九州の鉄道ファンには見逃せないイベントが佐世保線を中心に“開催”される。有田陶器市臨の列車である。団体列車によっては肥薩線人吉駅発の列車もあり、少なくとも佐賀、長崎、熊本、福岡の各県で、普段は入線しない列車やあまり本線上では見られない列車が走った模様だ。管理人は5月4日(木・国民の休日)に有田陶器市臨の撮影及び佐世保への旅を実行した。

 今回、初めてナイスゴーイングカード(以下NGC)を使用した。このカードは16歳〜29歳の全ての男女が使用できるJR九州発行のカードで、金・土・日及び特別に定められた日にJR九州の路線を101km以上利用する場合に使用でき、通常運賃・料金からそれぞれ4割引される。また、購入金額1000円ごとにスタンプが押され、30個集めるとグリーン車に乗ることが出来る。学割よりも割引率が高く、しかも面倒な事務手続きがないので、こちらの方が断然使いやすい。

 きっぷの購入区間は二日市〜佐世保。佐賀〜佐世保では101km以上に満たないので、わざと二日市〜佐世保のきっぷを買ったのだ。こうすれば、佐賀〜佐世保でまともにきっぷを買うより、二日市〜佐世保でNGCを使った方が20円安くなるのだ。しかもスタンプも押してもらえる。なお、乗車券さえ101km以上を超えていれば、特急券や指定席券は区間に関わらず4割引となり、例えば指定席券は300円が180円になる。

 本日最初の乗車列車は、寝台特急「あかつき」。レガートシートの利用である。もちろんこの列車のレガートシート(普通車指定席)に乗ってもNGCが適用されたので安く利用できた。

 6:52、列車は朝日を背にして佐賀駅に入線した。

 レガートシートのドアが開く。男性が1人降りた後に乗車。レガートシートは空いていた。6:53、「あかつき」は軽い衝撃と共に佐賀駅を発車した。

 列車は佐賀市街を抜けると、麦畑の中を走るようになった。佐賀県はビールの原料となる二条大麦の生産高が日本一なのだという。3週間ぐらい経つと、麦が黄色くなり、それが秋に稲が黄色くなることに見立てて「麦秋」と呼ばれるようになる。

 寝ている人が多く、車内は静かだった。

 今回初めて気がついたが、座席の肘置きの下に読書灯があった。だが、壊れているのか使用時間が決まっているのか、電気はつかなかった。

 次の停車駅は肥前山口駅で、ここで佐世保線各駅停車に乗り換える。到着3分前に座席を抜け出し、ミニロビーに移る。ミニロビーのソファや公衆電話を撮影し、デッキに出てテールマークも撮影した。

 オルゴールなしの到着放送と共に肥前山口駅に入線。つつじが綺麗だったので、最後尾と一緒に撮影した。  

 続いて佐世保行きの817系に乗り換え。

 時間があるので、ちょっとだけ途中下車してホームに戻る。肥前山口駅では、管理人の先輩の豊之國男様と合流。電車は7:27に肥前山口駅を発車し、最初の目的地である永尾駅には7:48に到着した。

 永尾駅の近くで本日最初の撮影をする予定だが、撮影地に行く前に駅前のコンビニで食料と飲み物を調達。豊之國男様の情報によれば、永尾駅の近くにはいくつかの撮影地があるそうで、豊之國男様に連れられてまず第一候補地へ向かう。国道35号線は渋滞こそしていないものの、交通量は非常に多い。県外ナンバーが多く、福岡や熊本といった近隣の県の他、愛知県内ナンバーの車も走っていた。おそらく有田陶器市に向かっているのだろう。1kmほど歩いたが、撮影地らしき場所は見当たらない。もうすぐ最初の快速「有田陶器市号」がやって来るので、第一候補地での撮影は諦め、第二候補地へ向かった。

 第二候補地には既に先着者がいて、私達の到着とほぼ同時にもう一人やって来た。783系の定期特急や817系が通過し、

 その後ヘッドマーク付きの415系8連の快速「有田陶器市号」がやって来た。

 さらに485系5連も。こちらは通常3両で活躍している編成に、派動用の2両を増結したものと思われる。

 この他、813系6連の快速「有田陶器市号」が走り去っていった。

 次の目的地に向かう為、永尾駅に戻る。同じ撮影地で撮影していた他の男性2人もその場を立ち去ったが、2人とも自動車に乗り込んでいた。鉄道を撮影するのだから、当然鉄道を利用して鉄道会社に貢献すべきだと思うが、私も自動車を乗るようになれば、やはり自動車が便利なので鉄道ではなく自動車を使ってしまうかもしれない。

 無人化により待合室を残して半分になった駅舎に入る。誰もおらず、古いベンチが鈍い光沢を放っていた。

 地元の方が毎朝掃除をされているのか、ゴミはあまり落ちておらず、木のベンチもきれいだった。そして、花も・・・。

 無人駅というと、常に管理していない人がいないのでゴミが散乱したり、落書きをされたりと荒れがちである。だが、このように地元の人々によって支えられている駅は、そのようなことはほとんどないと言ってもよいと思う。今年の5月28日に、私は肥前七浦駅を訪れた。この駅も無人駅で、駅舎は戦前のものだ。駅舎内の状況はこの永尾駅と似ていて、テーブルや窓口跡といった色々なところに、小さな花瓶と花が活けられていた。また、この日は近くの有明海の干潟で「ガタリンピック」という“干潟のスポーツ祭典”が開催されていて、肥前七浦駅には特急「かもめ」の一部も停車していたが、JRでガタリンピックに来場する乗客をもてなそうと、地元の婦人会の方々がお茶を配っていた。

 無人駅というと、「利用客のマナーが悪すぎる」「汚い」「いたずらが多い」などという悲観論や否定的な主張をする人が多い。だが、それは地元住民の駅に対する気持ちに大きな差があると思う。つまり、駅が荒れていれば、利用客は「汚いんだから落書きしても構わない。」と思うだろうし、駅がきちんと掃除されていれば、「大事に使ってあげよう。」という気持ちになるだろう。このことは、かつては落書きが絶えなかったニューヨークの地下鉄でも立証されているそうだ。

 さて、ホームに行って有田方面へ行く下りの各駅停車を待つ。時刻表で確認してみる。すると、ダイヤが臨時で入ってきている快速「有田陶器市号」と重なっているではないか!単線なので、同時発車はあり得ないし、かといって特に注記が書かれているわけでもない。これには豊之國男様も困惑されていた。だが、快速列車と各駅停車では、通常快速列車が優先されるので、おそらく快速「有田陶器市号」が先に来るだろうと予測した。なお、この列車は永尾駅には停車しない。そして、先にやってきたのはやはり快速「有田陶器市号」で、811系による運用だった。 

 約5分後、817系の各駅停車が入線。この編成は、現在長崎市で開催されている「長崎さるく博'06」のラッピング車だった(写真は三間坂駅発車時に撮影したもの)。

   ちなみに、「さるく」とは、長崎の方言で「歩く」という意味で、佐賀でも「さぁーく」とやや崩れた形で使われている。もちろん、地域によって多少の違いがある。

 次の三間坂駅で電車を降り、787系特急「みどり」と有田方面から回送されてきた(博多寄りから)キハ28−2444、キハ58−716、キハ67、キハ66−3の気動車4両編成を撮影した。なお、この気動車4両は、長崎発大村線経由の快速「有田陶器市号」として上有田まで走って回送されてきたものだ。

  

 

 この三間坂駅では、毎朝地元のおばちゃんが水を掛けたり花を活けられたりされていて、「青春18きっぷで行く、長崎県内JR全線制覇達成の旅」で私が乗っていた電車が三間坂駅に着いたときは、ちょうど水掛けの最中だった。その時は、駅長さんも集札業務の傍らで水掛けを手伝っていた。この駅も、永尾駅同様地元の住民に愛されている駅の一つのようだ。

 さて、駅の外に出ようと乗車券を駅長さんに提示したが、駅長さんはちょっと考え込んで、「これ(このきっぷ)は途中下車できるのかな〜」と悩んでいた。おそらく「NGC使用乗車券」を表す赤いスタンプが押されていたので、迷ったのだろう。私が「肥前山口ではこのきっぷで降りれましたよ。」と言うと、それなら、というような表情で途中下車が許可された。

 この三間坂駅も木造駅舎で、先ほどの駅長さんの話では、一昨年(2004年。平成16年ごろ)にリニューアルしたそうである。

 さらに、運賃表は筆字で書かれていて、遠くは東京都区内までの運賃が表示してあった。

 また、ベンチには座布団が置いてあり、利用客に少しでも気持ちよく駅を利用してもらおうという心遣いが感じられた。 

 ホームに戻る。787系の回送列車が三間坂駅の1番乗り場に滑り込んだ。編成はBM−1編成で、先ほどの特急「みどり」とは違う編成だった。

 しばらくすると、787系は博多方面に回送されていった。その後、下りの快速「有田陶器市号」が三間坂駅を通過。厳密には客扱いなしの停車をして通過した。運用は415系8連で、前面及び側面の方向幕は茶色地に白抜き文字で「有田陶器市号」と書かれた専用幕だった。

 数分後、後続の各駅停車が入線。運用は817系だった。次の上有田駅では、団体列車の撮影のために電車を降りた。この上有田駅前から有田駅前にかけての道路が有田陶器市の会場になっており、電車に乗っていた大半の乗客が下車した。駅のすぐそばにも多くの店が出店していて、「この店は創業〜年!」「どこよりも安い!」「売り切れ御免!」などという商売の名文句(?)がマイクを使って連発されていた。豊之國男様の情報によれば、熊本県人吉市からの団体列車らしく、運用はキハ28・58形だという。

 約10分後の12:10頃、キハ58−139、キハ58、キハ28−2401の団体列車3連が入線した。

 列車が到着すると、中高年層の方々を中心にぞろぞろと降りてきた。すると、先ほどのマイクの声の主が、「人吉からのお客様、お疲れ様でした。列車番号を申されますと、全品2割引しま〜す。」と臨機応変に放送していた。

 この列車は、この後早岐方面に回送されていった。さらにその後、今度は先ほど三間坂駅に回送されてきた気動車4両が早岐行き各駅停車として入線。

   停車時間が長かったので、ちょっと車内に入って車内の様子を撮影。写真はキハ58−716の車内である。

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