〜主張Cウソでしょ!?佐賀―博多間、片道1000円以上値上げか!?〜

―値上げ魔・長崎新幹線―

   佐賀市民は、JRから日本一良い待遇を受けている“幸せ市民”とも言えるかもしれない。美しい885系「白いかもめ」の豪華な車内、それに佐賀―博多間は最速32分、片道何と900円(特急回数券「4枚きっぷ」使用時)で行くことができる。おかげで福岡市への通勤通学が便利になり、朝は午前6時台から夜は日付が変わった午前0時台まで、多くの通勤通学客が「白いかもめ」を利用している。深夜の0:07佐賀着の「かもめ」は、あまりの快適さに利用者から「安眠列車」とも呼ばれている(佐賀新聞の特集記事より)。

885系「白いかもめ」。「白いかもめ」は、長崎本線沿線住民の誇りだ。

 ところが、そんな佐賀市民の“幸せ”を破壊しようとする“悪魔”が現れた。何を隠そう、長崎新幹線である。長崎新幹線列車は長崎―博多間のうち、新鳥栖―博多間において2011年(平成23年)全線開業予定の鹿児島新幹線線路を利用することになっている。一般に、新幹線特急料金は在来線特急料金に比べて高く設定されている。すなわち、佐賀―博多間を「片道900円」という激安価格で利用できなくなるということだ。

―では、どのくらい値上げされるのか―

   開業していない路線の料金を推測するとき、一番確実なのは、できるだけ条件を揃えて既開業路線と比較することである。この場合、考えられる条件は三つある。それは、

@運行会社が同じである。
A距離がほぼ同じである。
B料金制度が同じである。
(今後も現行料金制度が適用されると仮定した場合)

 この場合、@とBについては、既に開業している鹿児島新幹線新八代―鹿児島中央間が該当する。また、今回は上記の条件を満たす既存の新幹線と比較するため、新鳥栖―博多間(約26km・佐賀県発表資料による)と距離の数値が最も近い鹿児島新幹線出水―川内間(32.7km)を参考に考えたい。では、早速それぞれの自由席特急料金(通常使用時)で比較してみよう。

 鹿児島新幹線出水―川内間32.7kmの自由席特急料金は、時刻表の料金表によると1680円である。ちなみに、新水俣―出水間の16.0kmでも自由席特急券は1680円であることから、16km以上32.7km以下に該当する新鳥栖―博多間の自由席特急券は1680円と見ることができる。さらに、佐賀発で考えると佐賀―新鳥栖間の在来線特急料金を足す必要がある。

 佐賀―新鳥栖間、新鳥栖―博多間では在来線と新幹線という違いから料金制度が異なり、もしかすると需要の関係による特例や、直通割引制度が設けられる可能性があるため、現時点では何とも言えないが、仮に割引制度を無視した場合、佐賀―新鳥栖間の自由席特急料金300円(25.0km以下)に新鳥栖―博多間の新幹線自由席特急券を加算すると、何と1980円になる。これは現行の自由席特急料金920円より1000円以上高くなる計算だ。

―少なくとも、値上げは間違いない―

 もちろん、上の試算は、特例を無視した「最悪の場合」である。だが、新鳥栖―博多間で新幹線線路を使う以上、現在発売されて好評を博している「2枚きっぷ」「4枚きっぷ」が、1000円もの値上げにならずとも、現状維持したり、値下げされたりするのは、到底考えられない。

 また、佐賀発だけでなく、肥前山口発、武雄温泉発などの佐賀以西各駅発のきっぷもそれぞれ値上げされるだろう。長崎発、諫早発に至っては、諫早―武雄温泉間で高速新線が新設され、「スーパー特急方式」とは言え、事実上、東海道山陽新幹線や鹿児島新幹線などのフル規格新幹線と同じように、新幹線特急料金が適用されると考えられるため、今よりも確実に料金が跳ね上がるに違いない。

 しかし、佐賀―博多間の長崎新幹線開業による時間短縮効果は、現状に比べてわずか5分である。誰が考えても料金の値上げに見合わないものだ。推進派の佐賀県は、このような事実に対し、「おそらく値上げされるだろう」と一応認めてはいるものの、具体的な料金は発表していない。いや、この料金値上げを一般市民に知られるとまずいから、発表していないのだろうか。いずれにしても、多くの佐賀・長崎県民にとって、料金面でのマイナス効果を被るのは間違いないことなのだ。  

「主張D縮小する日本社会―長崎新幹線計画の推進は時代錯誤だ―」へ

“政治”新幹線は必要かへ

旅行記&特集へ

トップへ