青春18きっぷで行く、JR九州全線制覇完了旅行C

JR九州の路線を全線制覇するために実行した旅行です。

 9:03、列車は志布志駅を発車した。海沿いを少し走った後、内陸部に入り、畑作地帯の中を宮崎方面に向かって進む。

 再び海のそばを走るようになった。朝方とは違い、まさに夏の海、夏の空が広がっていた。窓を開けて、夏の空気を思う存分味わった。

 途中の駅では、多くの人が乗ってきたので、座席があっという間に満席になった。私の向かい側にも初老の男性が一人座り、通路を挟んだ反対側の座席には、その男性の兄弟とその奥さんと思われる方が座った。

 男性は、カメラを首に掛けている私を見て、地元の人じゃないなと思ったらしく、

「どこから来たの?」

と声を掛けてきた。私もそれに答えた。

私:「佐賀です。」

男性:「へぇ、佐賀ねぇ。一泊二日で?」

私:「はい。油津の日南子旅館というところに泊まって・・・。」

奥さん:「あぁ、あそこね。」

男性の兄弟:「(宮崎弁がきつくてよく聞き取れなかった)」

 旅館「日南子」は、このあたりでは結構有名な旅館らしい。

男性:「私もね、昨日車で名古屋から16時間ぐらいかかって帰ってきたんだよ。」

私:「私は全部JRで。青春18きっぷという、普通列車だけ利用できる乗り放題のきっぷを使って、ここまで来ました。」 ・・・と、話題はどんどん盛り上がっていき、その男性からは沿線の名所や「あそこが広島、あそこが巨人のプロ野球チームのキャンプ場。」などと色々なことを案内してもらった。宮崎弁混じりの観光案内は、なかなか面白かったし、何より宮崎の方言を聞くことができて良かった。宮崎弁をよく聞いていると、「〜しちょる。」という独特の言い方が多く、大分や北九州の方言に近いという印象を受けた。どうやら、九州の方言は、福岡西部、佐賀、長崎、熊本と北九州、大分、宮崎という風に、東西に真っ二つに分かれているようだ。鹿児島も独特だが、どちらかというと、“西側タイプ”に似ているような気がする。

 車窓を見ると、雲行きが怪しくなり、ついにはどしゃ降りの雨が降ってきた。

 再び海辺を走るようになると、この近くの青島にあることでよく知られている「鬼の洗濯岩」に似た面白い形状の岩場があった。男性に協力してもらって窓を開けてもらい、撮影した。

 青島からは車掌さんが乗務を開始。往路で運転士さんからアドバイスを受けたように、きっぷに日付印を入れてもらった。青島を過ぎると、雨が上がった。

男性:「あそこが宮崎空港に行く道路だよ。」

と、遠くを指差した。指差した先には、背の高い熱帯植物が規則正しく並ぶ道路がずっと先まで続いていた。話している間に「間もなく、田吉に着きます。」という放送が流れてきた。その男性にお礼を言って、列車を降りた。田吉で降りたのは、宮崎空港線制覇のためである。

 電車を待っていると、宮崎空港方面から元グリーン車付きの475系が入線した。まもなく、宮崎方面からも列車がやってきた。特急用車両の783系だったので、通過するのかと思っていたら、何と停車したではないか。よく見ると、方向幕は普通列車仕様。回送目的で運用されているようだが、九州北部では特急料金を払わないと乗れない783系も、南九州ではこのような運用もあるのだ。人によっては、「783系は(悪い意味で)特急列車ではない。」と言う人もいるが、南九州ではそれが現実としてある。

 車内は空いていたので、簡単に座席を確保できたが、次は終点・宮崎空港である。

 3分の乗車で、宮崎空港に到着した。宮崎空港線制覇完了である。未制覇路線は、残すところ日豊本線だけになった。駅舎を出て、早速駅舎を撮影。

 空港に用はないので、駅に戻り、売店で「日向夏ゼリー」と「ういろう」をお土産として買い、ついでに軽食も購入した。ようやく食べ物にありつけた。次の普通列車は12:16発だが、駅員さんによると、宮崎空港―宮崎間は、青春18きっぷでも乗れるそうなので、先ほどの783系の折り返し列車に乗った。隣のホームには、485系5連も停車していた。

   時間があるので、南宮崎駅で電車を降りた。留置線には、この旅行で最も撮影したかった形式である713系が停車していた。

 その後、途中下車して、駅前の交差点から駅舎を撮影した。

 続いて、817系に乗って宮崎駅へ。

 宮崎駅に到着して途中下車をすると、すぐに駅舎の撮影に出かけた。しかし、障害物が多く、なかなか良い場所が見つからない。駅前を1周したところで、ようやく撮れそうな場所を見つけたので、早速撮影した。

 南国宮崎らしく、夏の日差しが眩しい。朝は曇っていたが、晴れて本当に良かった。

 時間があったので、駅弁や飲み物を買ったり、反対側の駅舎を撮影しに行ったりして時間を潰し、最後に「みどりの窓口」に行って、次に乗る「にちりん16号」の指定席を買おうとしたが、通路側3席しか空いていないそうなので、諦めて自由席に座ることにした。ホームでは、既に多くの人が「にちりん」を待っていて、どうやら座れそうにも無い。「にちりん16号」は3両で運転するそうなので、これは間違いなく485系である。ということは、国鉄色の可能性もあるということだ。

 隣のホームに485系回送列車が入線したが、これは違うようだ。

 13:00、駅の入線放送が流れ、485系が入線してきた。すると、何と国鉄色が本当に来たのだ。昨日の475系といい、この485系といい、乗りたい電車が乗りたい時にやって来た。本当に運がよかったと思う。

 「にちりん16号」の始発駅は宮崎空港駅で、既に自由席車内は多くの座席が埋まっており、列の後ろに並んでいた私は、デッキで立つことになった。

 13:03に電車は宮崎駅を発車した。市街地を抜けると、電車は宮崎平野を高速で駆け抜け、一路北を目指す。私は、デッキで485系の爆走ぶりと唸るモータ音に酔いしれていた。遠くに海が見えたかと思うと、今度はかつてのリニア実験線の高架橋が見えた。しかし、放置されているだけのようで、非常にもったいない。博物館にしたり、実際にリニアモーターカーを走らせたりすれば良い思うのだが・・・。

 日向市では、多くの乗客が下車し、自由席が一気に空いた。私を含め、デッキや客室内で立っていた人は、全員座ることが出来た。南延岡、延岡では、乗客たちがさらに降りて行き、自由席車内は閑散となった。延岡発車後にデッキに出て、旧高千穂鉄道の線路を撮影した。

 去年の台風災害で、橋脚が流されたり、駅が水没したりして、復旧の見通しが立たなくなり、高千穂鉄道は経営を断念した。被害が少なかった区間では、新たな鉄道会社が復旧を試みているが、他の鉄道と接続していないため、不安要素が大きい。しかし、全日空が支援を名乗り出るなど、明るい話題もあり、復活に向けた動きが活発化している。

 私が乗っていた車両は、半室自由席、半室指定席で、迷っている人も多く、私は、すぐ近くの通路で迷っていたおばあさんに「指定席は後ろですよ。」と教えた。私もこの時気付いたが、天井に「ここから先は指定席です」という札がかかっていた。せっかく付けているのならば、もっと分かりやすい場所につけるべきだと思う。

 電車は、時々「プァーン」という警笛を鳴らしながら、山の中を進んでゆく。

 この区間でやむを得ず特急列車を使うのは、普通列車の本数が少なく、その上不便な時間帯しか走っていないからである。しかし、ナイスゴーイングカードを持っていたので、通常の4割引で利用することができた。

 自由席は、私とその前にあと一人乗っているだけで、後ろの指定席に座っている人の方が多かった。

 重岡駅では、宮崎空港行きの783系「にちりん」と離合した。 

 平地に下りてくると、まもなく佐伯である。佐伯を発車すると、海のそばを走るようになった。

 津久見を発車すると、次は臼杵駅である。臼杵駅は、今年の春に訪れた。つまり、臼杵駅に到着すれば、JR九州全線制覇完了となる。電車が減速を始めた。臼杵に着くのだ。

 15:36、臼杵着。JR九州全線制覇を完了した瞬間だった。ようやく、長年の願いがかなったのである。

 電車は臼杵を発車した。ここから先は、制覇済みである。次の停車駅である鶴崎では、475系と離合した。鶴崎を発車すると、次は大分である。大分到着3分前、あの鉄道唱歌のオルゴールが流れてきた。鉄道唱歌をオルゴールで聞くと、旅をしている気分になる。今、九州内で鉄道唱歌をオルゴールで聞くことが出来る車両は、485系だけになった。その485系も、アスベスト問題や老朽化などで、あと数年の命だという。長編成で走っていた長崎本線や佐世保線に、今はその姿はない。私は新型車の885系は、本当に素晴らしい電車だと思う。座席は良いし、デザインも格好良い。しかし、あまりに加速や減速の性能が良いばかりに、その分、体に重力がかかって、かえって疲れてしまうことがある。あまり疲れない車両というのは、座席だけが関係するのではない。485系のように速すぎず遅すぎずの車両こそが、一番疲れない、体に優しい車両なのだと思う。485系で九州の旅ができなくなる時は、刻一刻と迫ってきている。

 16:07、大分に着いた。ホームでうろうろしていると、キハ220形の新型車・200番台が入ってきた。大型LEDと全身真っ赤だという噂は本当だったようだ。

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