小倉工場まつり2006往復旅行@

朝からいろいろと大変だった「小倉工場まつり往復旅行」の旅行記です。

ぎゃぁあああああああああ!

 2006年(平成18年)10月15日の朝。私の一日はこの悲鳴で始まった。こともあろうか、北九州市で行われる「JR九州小倉工場まつり」に参加するために、3週間も前から計画していた「小倉工場まつり2006往復旅行」の当日に寝坊してしまったのだ。問題はその寝坊の時間。聞いて驚かないでいただきたい。5:45に起きるはずだったところを、何と2時間10分も寝坊してしまったのだ。思い起こせば、昨日の・・・いや今日の午前3時まで勉強していたのがいけなかったのだ。と言うのも、この連休は中間テスト期間中の真っ只中にあり、日曜日に勉強する分を土曜日に一気にしてしまおうと考えたため、午前3時までしたのだ。今考えると非常に無謀だった。

 起床から5分後。朝食も食べずに8:00に自宅を出発。約13分で駅に到着し、急いで「みどりの窓口」に駆け込み、帰りに利用するはずだったグリーン車の指定を解除し、払い戻した分をもともと利用する予定ではなかった往路用の特急券代に充てた。今回の旅行では、16〜29歳の若者が使えるナイスゴーイングカード(条件を満たせば最大4割引)を使用したが、なるべく料金を抑えるために、佐賀―鳥栖間、鳥栖―戸畑間で分割購入した。ちなみに、復路については既に戸畑―鳥栖間の特急券を買っていたのでそのままである。

 佐賀8:22発の特急「みどり」にぎりぎりで間に合ったので、先頭車付近の列に並んだ。「みどり」は予定通りに入線。しかし、車内に入ってみると、タバコの臭いが・・・。しまった!喫煙可能車に乗ってしまった!と思ったが、引き返そうにも後ろからはさらに人が乗ってきているし、他の車両のデッキには既に立ち席の人が乗っていた。やむを得ず、先頭車後ろ寄りの通路側の座席が空いていたので、そこに座った。しかし、この車内でタバコを吸う人は多く、あちこちから白い煙が上がっていて、車内は煙が充満していた。

 今、喫煙者だけでなく、受動喫煙によるタバコを吸わない人の病気が問題視されている。この車両は喫煙可能車なので、この場でタバコを吸うな、と言うのは喫煙者の自由を奪うことになるが、タバコが大嫌いな私にとっては、なぜタバコを吸って「カ・イ・カ・ン」「タバコがおいしい」と思うのかがまったく理解できない。お酒は「百薬の長」ということわざがあるように、ある程度飲んだ方が良いと言われているが、タバコについてはプラス効果はおろか、むしろ体に対してマイナス効果をもたらすものである。JR北海道は既に自社管内を走る特急列車の全面禁煙を実施しているし、JR九州もまもなく同様のことを実行する予定だ。これは乗客の健康を考えると大いに歓迎すべきことだ。列車内だけでなく、駅を含め全ての公共交通機関で全面禁煙を実施して欲しい。

 それにしても・・・煙で息苦しい・・・。肥前麓駅通過を見届けると、デッキに避難した。

 避難後から鳥栖駅到着して列車を降りるまで、ずっと咳き込んでいた。もう二度と喫煙車には乗らない・・・。そう心に誓った16の秋。

 本当は終点の博多まで「みどり」に乗る予定だったが、先ほどのようなこともあり、ここで特急「リレーつばめ」に乗り換えることにした。約10分後、博多行きの787系「リレーつばめ」が入線した。

 ビュッフェ改造の4号車に空席を見つけたので、そこに座った。

   しばらくすると、車掌が車内改札をするためにやってきた。

車掌さん:「乗車券、特急券を拝見させていただきます。」

私:「はい、どうぞ。」

車掌さん:「う〜ん・・・本当はこのきっぷ(鳥栖―戸畑間の特急券)ではこの列車に乗ってはいけないんだけどね。この列車は博多行きだから。「有明」、あの4両のやつね。それだったらこのきっぷでもいいけど。駅員さんがどう説明されたのか分からないけど。次回から気をつけてね。」

私:「分割して買わなくてはならないのですね。分かりました。」

 確かに、先ほど立ち寄った「みどりの窓口」の駅員さんが「有明に乗ってください」と言っていたような気がするものの、気が動転したので何も考えずに「それでいいです」と言ったような気がする。直通していない区間を直通で買えないことは、知り合いの車掌さんにメールで聞いていて知っていたはずだし・・・。でも、今朝は事情が違う。実体験で味わったのだから、それでいいではないか、と勝手にことを丸めて「終わったこと」にした。

 博多駅では883系「ソニック」に乗り換えた。リニューアル後の883系に乗るのは初めてである。

   入線前から並んでいたので、座席は簡単に確保できた。座席は、特徴のミッキーマウスは残されていたものの、以前の派手さとは対照的に、落ち着いた抹茶色や茶色のモケットに変わっており、車両の前後で色が分かれていた。しかしながら、個人的には以前の派手な座席の方が良かったと思う。

 列車は9:25に博多駅を発車し、踏切のない高架橋上をぐんぐん加速してゆく。 

 戸畑駅で快速に乗り換えるために下車した。戸畑駅のホームからは、若戸大橋が見えた。

 811系の快速門司港行きに乗って西小倉駅へ。

 車内は混雑していて、立ち席になった。親子連れが目立ち、「電車」などの鉄道ワードが飛び交っていたので、おそらく目的地は私と同じなのだろう。

 西小倉駅には10:16に到着。計画ならば、そろそろ小倉工場から帰ることである。駅を出た後は、小倉工場へ向けて急いだ。

 途中、「JR」ロゴ入りの赤い服を着た人が立っていたので、「こっちだ」と思って途中で右折した。しかし、住宅街に迷い込んでしまったので、地図で確認してようやく西門に辿り着いた。小倉工場に来たのは2年ぶりである。西門近くには、日豊本線で試験走行をしたことがあるフリーゲージトレインや、電気機関車が展示されていた。

 しかし、私の第一の目的は、フリーゲージトレインなどではなく、車両部品販売である。人の行くままに工場内を進み、2年前のまつりで車両部品販売所のあったところに向かったが、別の店が出ていた。さらに探し回って、そこから少し離れたところで販売所を見つけた。

 ちなみに、私は計画書を作成する時に小倉工場のホームページで情報を集めようとしたが、「車両部品販売を行う」とは一言も書かれていなかった。しかし、まつりの目玉でもある車両部品販売を行わないのはどう考えてもおかしい。私はもしかすると・・・と思って、そこに併記されていた番号に電話を掛けて聞いてみると、

担当者:「今年は販売数が少ない予定なので、ホームページ上に書くほどではないかな〜、と思って載せていません。」

という返事だった。しかし、いざ来てみると、見た感じで販売数は例年並みで、むしろ今まで見たことの無いような“新商品”もいくつかあった。もしかすると、ホームページ上に明記しなかったのは、一部のフーリガンのような乱闘騒ぎを引き起こす者を少しでも減らそうとするための苦肉の策だったのかもしれない。このような車両部品販売では、しばしば乱闘騒ぎを起こす不届き者が出没している。そのせいで良心的な鉄道ファンまでが世間から変な目で見られてしまうのだ。特に「小倉工場まつり」は、鉄道ファン以外にも地元住民が多く来場する。そのような乱闘騒ぎをする不届き者を見ていると、恥ずかしくないのか、とその人の精神をも疑ってしまう。

 販売所内には列ができていて、張り紙を見るとどうやら例年争奪戦が繰り広げられる「サボ(サイドボード・行き先表示板)販売」の列らしい。最後尾に並んでいた優しそうな顔の男性に聞いてみると、

男性:「サボ販売で並んでいるんですよ。」

ということだった。

男性:「毎年毎年争奪戦ですからねぇ。でも、この販売方式はちょっと危ないような気もするんだけどなぁ。」

私:「私もそう思います。後ろから押されて怪我をするかもしれませんし・・・。それにしてもすごい人数ですね。」

男性:「(サボの)数自体が少なくなっているからね。人気が上がってるんだよ。」

私:「数が少なくなれば、価値があがる・・・ということですね。」

と、この男性のように微笑しながら他の来場者と会話できる人は、穏やかで良心的なファンだと言えるだろう。しかし、並んでいる人の中には、目が引きつっていて、顔を見る限りもはや普通の状態ではない人もいた。最前列にはロープが張ってあったのだが、それを動かして入ろうとする人もおり、さすがにそこまでされるともう呆れるしかなかった。当然ながら、彼らは他の来場者とは微笑ひとつ、会話ひとつなく、ただただサボの販売開始時刻である11:00をひたすらに待っていた。その光景を見ながら、私も列に並んだ。

 11:00、奥からサボが運ばれてきて、台の上に無造作に置かれた。係員の「どうぞ」という掛け声の瞬間、台に食らいつくかのように押し寄せ、バーゲンセールのおばさん顔負けの勢いで取り合いが始まった。そしてわずか10秒ほどで台の上からサボは全てなくなった。ほんの一握りの人が、たくさん取ってしまったからである。

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