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デザインか実用性か――平成19年春、813系1100番台登場

大型LED表示が特徴の813系1100番台の特集です。

大型LED表示を搭載するなど、実用主義の813系1100番台。2007年3月4日・基山駅で撮影。

 かつて、九州には「食パン電車」と呼ばれる電車が走っていた。寝台電車改造の715系である。種車の屋根が高かったために、幅の割には縦長なので顔の面積が広く、車体がクリーム色だったため、このようなあだ名がついたのである。残念ながら、“食パン電車”は21世紀になる前に九州から全滅してしまったが、今回、その復活を思わせるような新型電車が2007年(平成19年)春に登場した。813系1100番台である。

JR九州が「デザイン主義」から「実用主義」に方針転換?

 JR九州の車両は、デザインの良さにかねてより定評があった(赤を多用した派手さを嫌う人も中にはいたが・・・)。813系は水戸岡鋭治氏率いる「ドーンデザイン研究所」が手がけたもので、特に評判が良い。

 しかし、デザインを重視した割には、「行き先の方向幕が見にくい」などの“実用面での”意見があった。確かにオールLED表示となった817系登場後に運行を開始した813系300番台・1000番台ともに従来どおりの方向幕方式だったし、従来番台を含めてもそれ自体がやや小さめで、そのような批判があっても不思議ではなかった。

 そのJR九州の車両に転機が訪れた。2006年(平成18年)に、久大本線・豊肥本線用に登場したキハ220形200番台である。この気動車では、前面行き先を車体から少しはみ出すくらいの大型LED表示とし、側面にもバスような経由地付きのLED表示が設置された。これに伴い、表示機下の窓の縦が若干小さくなっている。

 このキハ220形200番台の登場は、かなりの論議を呼んだ。ここまで「デザイン主義」で来ていたJR九州が、突如として実用性最優先に方針転換したからである。当然ながら、「デザインの良さ」が魅力だったのに、このような車両が登場したことには、ある意味で鉄道ファンや利用者に大きな衝撃を与えた。JR九州にとっては、「方向幕の見にくさ」を改善するための措置だったようであるが、特におでこからLED表示がはみ出るというのは、あまりにもアンバランスであったため、デザイン的にはあまり高評価を得ていないのが事実である。車内の座席配置も、片側がロングシートならばもう片方は転換式クロスシートとなっているため、クロスシート着席者は、どうしてもロングシート着席者の視線を気にしなければならず、居心地の悪さも指摘されている。

 「これだけ批判されたのだから、今度登場する新型車両は、もう少し工夫されているだろう」。中にはこのような期待をしていた人も多いのではないだろうか。そうした中、キハ220形200番台の流れを汲むかのようなデザインの813系1100番台が登場したのである。

外観は独特だが、基本は先輩の1000番台に準じる

 813系1100番台の特徴は、キハ220形200番台と同じく、813系としては初めて採用した「大型LED表示」である。側面にも設置しており、やはり表示機の下の窓は、他に比べて縦が少し小さくなっている。前面大型LED表示については、顔を少し広げて収めたものの、不自然さは否めない。しかしながら、LED表示になり、列車種別と行き先が同時に表示できるようになった他、側面についてはローマ字も表示できることから、見やすさや分かりやすさ、すなわち「実用性」は大幅に向上した。なお、屋根が高くなっているのは、乗務員室上付近だけで、客室部分は従来どおりの寸法のようである。

 集電装置には、シングルアームパンタを採用した。また、編成表示の色には、1000番台と同じく黄色を使っている。なお、他の編成と併結できるように、貫通扉や幌も当然ながら設置されている。運転台では、1000番台や817系同様に、ワンハンドルマスコンを採用している。

 車内については、先輩の1000番台に準じており、白を基調にしている。座席は従来通り転換式クロスシートを採用し、モケットは茶色の市松模様である。なお、ドア上のLED表示は従来車同様に設置されている。窓には、UV(紫外線)カットガラスを採用しており、カーテンは省略されている。ドア付近のつり革は、300・1000番台や817系にも採用されているサークル状のものになった。トイレは博多寄り先頭車に設置されており、車椅子対応である。これは300番台以降の登場車両(トイレ設置車)にも採用されており、大型であるためにトイレ向かい側のボックス席が設置されていない。

所属編成数、両数、運用線区など

   2007年(平成19年)2月に、6編成が2回に分けて近畿車輛から甲種回送されてきた。車両番号は、R1101〜1106までで、全編成が3両編成となっている。営業運転は2月中旬頃から始まり、当初は博多―熊本間などの限定運用だった。3月に入って、北九州地区や長崎本線での運用が開始された。

 

1100番台もやはり賛否両論

   運用列車や線区が判明するにつれて、九州北部のウェブサイトを中心に報道するところが増えてきているが、反応は様々である。やはり、大型LED表示になったことで、デザインが損なわれたという批判がかなり多い。一方で、遠くから見やすくなったことを評価する声もある。

 デザインか実用性か。鉄道利用者にとっては、後者の方が大事そうであるが、何度も書いているように、JR九州の車両は、デザインを売りにしてきた経緯がある。キハ220形200番台、813系1100番台の登場で、デザインが別な方向に向かっていると感じる人も多いのではないだろうか。今まではデザイン主義に偏っていたのも事実であるし、今回は逆に実用主義に偏っているのもまた事実である。

   この2つを両立できれば、JR九州の車両は、さらに高い評価を受けるようになるだろう。今後の車両開発に期待したいところである。

813系1100番台写真館

車内の様子。全体的に白を基調としている。2006年3月24日・813系1100番台車内で撮影。

車内のドア上のLED表示は、ほぼ従来通り。2006年3月4日・813系1100番台車内で撮影。

側面もLED表示に。2006年3月4日・813系1100番台車内で撮影。

この通り、側面LED表示機の下の窓は、後ろの窓に比べて小さくなっている。2006年3月4日・鳥栖駅で撮影。

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